クールな社長の溺甘プロポーズ
どうして、キスなんてするの。
そんな、必死なキスを。
そんなわけない、違う、と何度も心の中で言い聞かせながらも、そのキスひとつでまた期待しそうになってしまう自分がむかつく。
彼の言葉が本心であってほしいと願う気持ちが、また期待を生んでしまう。
そして現実を知る度、落ち込んで傷つくだけ。
それならいっそ、もうここで、きちんと終わりにしたいから。
溢れる涙を拭いながら、夜の街を走る。
口の中はほのかに鉄の味がして、よけい涙がこみ上げた。