クールな社長の溺甘プロポーズ
「俺はちゃんと、ずっと澤口だけを見てた。これからも、澤口のことだけ見てる」
米田さんはその言葉とともに、真っ直ぐこちらを見つめた。
「お前の仕事も人間性も、全部受け止めるから。澤口が望むなら、会社を継ぐためにこの仕事を捨てて転職だってする。だから俺と付き合ってほしい」
真剣な彼の気持ちが、眼差しからも伝わってくる。
「あの……」
返事に戸惑ってしまい、うまく言葉が出てこない。そんな私の気持ちを察したように、米田さんは笑って首を横に振る。
「今すぐじゃなくていいから。帰りにまた、澤口の気持ち聞かせて」
とりあえず今は飯食おう、と彼はグラスを手に取った。
米田さんが私のことを、なんて知らなかった。
先輩としてしか見たことがなかったし、考えたこともなかった。
だけど彼は、私を見てくれていたんだ。
全部、受け止めてくれる。私が、望むのなら。
もったいないくらいの言葉なのに、どうしてか心は躍らない。