クールな社長の溺甘プロポーズ
◆番外編
夏真っ盛りの8月下旬。
今日も東京は太陽がじりじりと地面を照らし暑い。
そんな中、今日も私はオフィスでせわしなく動き回っていた。
「澤口、各店舗の今期商品在庫数あがってきてる?」
「あっ、はい。各担当から報告あったものを今まとめてます」
白いティアードフリルの半袖ブラウスを揺らし、書類を片手にデスクに着く。
サマーセールももう終盤、秋物の立ち上がり時期ということもあり、相変わらず慌ただしい。
「お疲れ様です。柳原チーフ、澤口さん、コーヒー淹れましたよ」
「おっ、ありがとう」
柳原チーフはトレーにカップをいくつか乗せた後輩社員から、カップをひとつ受け取ると、ブラックのまま口をつける。
それに続いて私もカップを受け取ると、砂糖とミルクを入れてひと口飲んだ。
コーヒーの熱さで、知らずのうちに冷房で冷えてしまっていた体が温まる。
「はー……やっぱりコーヒー美味しい」
気の抜けた声を出す私に、柳原チーフは「ふふ」と笑った。