クールな社長の溺甘プロポーズ



「澤口、本当おいしそうに飲むよねぇ。あ、澤口じゃなくてもう大倉だったっけ?」



からかうように言われた『大倉』の呼び方に、驚きと恥ずかしさから焦って、熱いコーヒーを勢いよく飲んでしまう。



「ゴホッ!もう、まだです!からかわないでください!」



そんな私の反応に、柳原チーフは余計おかしそうに笑ってみせた。



大倉さんと付き合って、3ヶ月。

私の婚約話はすっかり浸透し、今では『相手はオオクラ自動車の社長らしい』『澤口が社長夫人に!?』という話まで広がっている。



確かに、プロポーズもされたし、結婚前提の付き合いではあるけれど……入籍も挙式も、まだいつにするかは決めていない。

今はまだ、恋人同士としてこれまで以上に距離を縮める毎日だ。



あれから、交際の報告を私の両親にしたところふたりはとても喜んでくれた。

特にお父さんは、大倉さんの気持ちを知っていたこともあったからだろう。お母さん以上に嬉しそうな顔で大倉さんの肩を叩いた。


そんな、ふたりの間にある想いに心が温かくなった。





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