クールな社長の溺甘プロポーズ
その日の夕方。
定時を迎え、今日は仕事があまりないことから私は早々に仕事から上がった。
そして向かうのは、今までで自分が住んでいた小さなマンションではなく、六本木にある高層マンション。
付き合ってからほどなくして彼と一緒に住み始めたからだ。
付き合ってからすぐ同棲なんて、と私は少し拒んだけれど
『夫婦になるんだしいいだろ』と大倉さんから強く言われ、結局私が折れて大倉さんが暮らしていたマンションへ転がり込む形になった。
相変わらず家事は苦手だけれど、少しずつ自分なりにもするようになった。
大倉さんも料理は好きだからと、度々手料理を振舞ってくれるけれど、それに甘えてばかりではいけないとも思う。
仕事が忙しいのはいつも通り。
その中で、自分に出来る限りのことを、大倉さんと相談しながら模索する日々だ。
「ただいま」
「星乃。おかえり」
マンションに着きリビングに入れば、スーツのネクタイをほどいていた大倉さんが出迎えた。
「今日は早かったのね」
「あぁ、今日は特別用事もなかったから。星乃も今日は早かったな」
「えぇ。きりのいいところであがってきちゃった」
私が来たことで少し物が増え生活感の出てきた室内で、そう会話を交わしながら私はバッグを置く。