クールな社長の溺甘プロポーズ
「そういえば、ついさっき荷物が届いたぞ」
「荷物?」
大倉さんはそう言って、ダイニングテーブルに置いてあった箱を小突く。
ちょうど帰ってきたところで受け取ったのだろう。
けど、荷物?なにか頼んだっけ?
不思議に思いながら送り状を見れば、そこには宛名に私の名前が、そして依頼主の欄にはお父さんの名前が記載されていた。
「お父さんから?あ、そういえば広島のお土産を送ってくれるって言ってたかも」
「お土産?」
「うん。この前お母さんと旅行に行ったって言ってて。たぶんお酒だと思う」
そう話しながらダンボールを開けると、中には『吟冷華』と書かれた化粧箱が入っている。
「……たぶん、じゃなく本当にだな」
その見た目だけでお酒だと悟ると、大倉さんな苦笑いで奥の部屋へと着替えに入っていく。
大倉さんは飲めないから興味がないんだろうなぁ。
そう笑いながら箱を開けると、それはやはりお酒だ。
けれど、箱の中のボトルは透明で、おしゃれなシャンパンボトルのような形をしている。
ラベルも『ginreika』と書かれた小さなシールが貼られているだけで、黙って置かれていたら日本酒には見えない。
ミネラルウォーターかなにかに間違えてしまいそうなくらいだ。
こんなにオシャレなお酒あるんだ。
大倉さんには悪いけど、私的には嬉しいな。
お父さんには飲みすぎないようにと度々怒るけど、私も好きだから飲みたくなる気持ちはわかる。
私のお酒好きはお父さん譲りだよね……。
せっかくだし、冷やしておいて後で飲もう。
そう決めて私は冷蔵庫にそのボトルを入れた。
パタン、と冷蔵庫を閉めたところで、私服に着替えた大倉さんが奥から再度姿を現す。