クールな社長の溺甘プロポーズ
呼んでみろって……いきなり?
なんか、照れる。
確かに、籍を入れれば私も大倉さんになるわけだし、いつかは名前で呼ぶことになる。
けれど、慣れない響きが恥ずかしい。
「ほら、今すぐ」
あれこれと考えているうちに急かしてくる彼に、私は渋々その名前を口にする。
「……た、すく。さん」
ぎこちない呼び方、けれどそれでも大倉さんは大満足のようで嬉しそうに笑みを浮かべる。
「かわいいな」
そう耳元で笑って、キスをした。
慣れない名前呼び。
甘えるような腕。
何度も重ねられる唇。
それらが、恋人としてのふたりの距離を近づけてくれる。
何度も何度も繰り返すたび、その愛情がこの心をふやかして、柔らかなものに変えていく。