クールな社長の溺甘プロポーズ



「旦那と喧嘩したら頼れば。俺人妻でもいけるから」

「って、もう!バカなこと言わないでください!」



からかうように言う米田さんに、口を尖らせ怒った。

その時だった。



なにげなく視線を向けた先には、お店の前を歩く大倉さんの姿。



「へ?お、大倉さん!?」



驚き目を丸くする私に、大倉さんもまさか会うとは思わなかったのだろう。驚きの表情を見せる。



「どうしたんですか?なんでここに?」

「今夜は俺も食事会があると言っただろ。それで駅前の地下パーキングに車を停めたから取りに行こうとしたんだが」



話しながら、その目は米田さんのほうをちらりと見た。



「あ……大倉さん。こちら、会社の先輩の米田さん」

「星乃の恋人の大倉と申します。いつも星乃がお世話になってます」

「はぁ、どうも」



小さく会釈をすると、大倉さんは胸ポケットから名刺を取り出し米田さんへ手渡した。

それを見て米田さんは『これが噂の』と言いたげに苦笑いを見せた。



「じゃあ、俺はこれで」



そう話を切り上げその場を去ろうとした大倉さんに、なにかを察したのか、米田さんは少し考えてから口を開く。



「澤口、ちょうどいいしもう帰っちゃえよ」

「え!?」

「どうせもうすぐお開きだし、戻ればまたあれこれ問い詰められるだけだしさ。あ、俺荷物持ってくるな」



笑って言うと、米田さんは一度店内に戻り、私のバッグを手にすぐ戻ってきた。


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