クールな社長の溺甘プロポーズ
「そもそも、そっちこそ会社のために結婚なんてしていいんですか?ダメですよね?本当はいやなんですよね?ならやめておきましょ!?ね!?」
背の高い彼の肩を掴んで、同意を求めるように揺さぶる。
けれど、やはり彼は真顔のまま。
「いや、俺は嫌じゃない。寧ろあの澤口製作所の高い技術をうちの会社のものにできるのは非常にいい」
「はぁ!?」
いくら会社のためとはいえ本気で言ってるわけ!?
私の手を肩からはずすと、揺さぶられ乱れた髪を整える。
それだけの仕草もやはりとても美しい。こんなイケメンと結婚なら、それはそれで悪くないかも……って、しっかりしろ!私!!
一瞬浮かんだ不純な気持ちを振り払い、その顔をキッと睨むように見据える。
「とにかく、私はあなたと結婚なんてしませんから!帰ってください!」
そんな私の強気な態度は、予想していた以上のものだったのだろう。
彼は呆れたように小さくため息をつくと、ふっと口角を上げてみせた。
「いいだろう。そこまで言うなら仕方ないな」
そして、次の瞬間には私の頬に手を添え顔を上げさせると、顔を近づける。
触れそうなほど近くに迫る、その黒い瞳はしっかりと私を見つめた。
「頷かないなら、時間をかけてでも頷かせてみせるまでだ」
本気さが伝わる声と、近い距離に、ドキッと心臓が跳ねて息が止まりそうになる。
そんな私の反応を見て、彼は「ふっ」と意地悪く笑ってみせると手を離した。