クールな社長の溺甘プロポーズ
ピピピ、と鳴るスマートフォンのアラームの音で目が覚めた。
「うぅ……眠い」
都内にあるマンションの、2DKの一室。
その部屋は、今日も服や雑誌が床に散らかったままで、お世辞にも綺麗とは言えない状態だ。
カーテンの隙間から差し込む朝陽のまぶしさに目を細めながら、壁際に置かれたベッドの上でもぞもぞと動き、力を振り絞り体を起こした。
最近、朝起きるのがつらい。
前は仕事後に飲みに行くどころか、そのままオールで朝帰りしても大丈夫だったのに。
最近はおとなしく帰って、早く寝ても朝がつらい。
年齢か、年齢なのかこれが……。いや、ただ疲れているだけだ。そうに違いない。
心の中で自分を納得させると、寝癖でボサボサな髪を手ぐしで整える。
それにしても、変な夢を見たなぁ。
昨日仕事終わりに、見ず知らずの人にプロポーズされる、なんておかしな夢。
驚いたけど、あんなことが現実に起きるわけもないし、所詮は夢だ。
あんな夢を見るなんて、私本当はものすごく結婚願望があるんだろうか。
それにしても、相手はかっこいい人だった。
無愛想でちょっと俺様系な態度だったけど、メガネが知的な印象で背も高くて……。
そんなことを考えながら、顔を洗うべく洗面所へと向かう。
すると、ピンポン、とインターホンの音が響いた。
こんな朝から誰だろう。
不思議に思いながら、インターホンのスイッチを押し画面を表示させた。