クールな社長の溺甘プロポーズ
「はい?」
『俺だ。大倉だ』
その低い声とともにパッとモニターに映し出されたのは、夢で見たものと同じ顔。
メガネをかけた黒髪のイケメン。大倉佑、と名乗っていたあの人だ。
ということは、つまり夢じゃなかったということ。
「って、なんでここに!?」
思わず大きな声をあげると、それがスピーカーから聞こえたようで、彼はうるさそうに眉間にシワを寄せた。
『朝からでかい声を出すな、うるさい』
「あ、すみません……って、そうじゃなくて!なんで私の家知ってるんですか!?」
『澤口さんが教えてくれた』
驚き問いただす私にも、彼は冷静に答える。
って、お父さん!勝手に家を教えるなんてなにを考えているんだか!
『早く支度して降りてこい。会社まで送る』
「は!?なんで……」
『言っただろ?今度はデートでもしよう、って。せっかくなら朝の貴重な時間をモーニングデートして過ごすのも悪くないだろ』
いたって自然に恋人らしさを感じさせるようなことを言う彼に、やはり昨日の話は夢じゃなかったのだと思い知り、血の気がサーッと引く。
やっぱりこの人、私と結婚するつもりでいるんだ……!