クールな社長の溺甘プロポーズ



「それで、星乃は俺のなにがそんなに嫌なんだ?」

「別に、大倉さんが嫌なわけじゃないですけど。普通に考えて、知らない人と結婚なんてすんなり受け入れられるわけないじゃないですか」



自分なりに正論を言っているつもりだけれど、彼はいまいち納得できなさそうにお皿の上の煮物に箸を伸ばす。



「別に、お互い恋人もいなければ意中の相手もいないなら不都合なんてないと思うけどな」

「そんなに簡単に割り切れません。これから先の人生がかかってるんですよ?それを親の指示で好きでもない人と、なんてできるわけないじゃないですか」

「結婚すればなんとかなる。生活に困らせることはしないし出来る限りのワガママなら叶えてやる」



それは確かに魅力的……じゃなくて!



「ああだこうだ言ってはいるが、お前はこれまで育ててくれた親を安心させたいとか、孫を見せてあげたいとか思わないのか?それともまだ大丈夫だと高を括って気づけば歳をとっていてもいいのか?」

「うっ……」

「10年後20年後、働けなくなったらどうするつもりだ?風邪で寝込んだときもひとりで耐えていて虚しくならないのか?」

「あーもう!うるさい!やめてください!!」



冷静な言い方で痛いところをグサグサと容赦なく突いてくる!

確かに親を安心させてあげたいとは思う。孫だっていつかは見せてあげたい。

だけど人や会社のために結婚なんてしたくない。



けどそういう発想が出てくるということは、大倉さんはそう思っているわけで。意外と親思いなのかな。って、ほだされるな!自分!


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