クールな社長の溺甘プロポーズ
◇3.恋人からはじめよう





『星乃っていつも仕事ばっかりじゃん。それって女としてどうなの?』

『お前は仕事があればそれでいいんだろ。そんな奴と結婚なんて考えられない』



過去に付き合った人たちは、皆そう言って去っていった。

その言葉に最初こそ、どうしてだろう。私のなにが悪かったんだろうと悩んだことももちろんあった。



どうして恋と仕事を上手く両立できないんだろう。

どちらも同じくらい大切にしてはいけないんだろうか。

そう、悩み落ち込んだ日々。



時には仕事より彼を優先してみたこともあった。

残業をしないで彼の家へ通い、土日は必ず休んで彼と過ごした。

その結果仕事は回りきらず、全て中途半端になった。



これが私のなりたかった姿なのか、これが私のあるべき仕事か。

そう客観的に自分を見て、なんだかひどく情けなくなり、結局彼とは別れてしまった。



そんな私を、『そのままでいい』と言った人がいた。



『俺はそんな星乃が好きだよ』

そう笑ってくれた彼の言葉は、恋を諦めかけていたこの心を明るく照らしてくれた。



この人となら、大丈夫。

そう信じていたのに結局は終わりを告げた。

幸せだった分、胸に深い傷を残して。



そしていつしか、誰かの体温への触れ方も忘れてしまったんだ。





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