クールな社長の溺甘プロポーズ
「……ん……」
ぱち、と目を覚ますと明るい太陽に照らされる白い天井。
朝だ……今日もだるい。
疲れが抜けない、けど起きなくちゃ。
そう思いながらも抵抗するように、ごろんと寝返りを打った。
「起きろ。時間だぞ」
するとベッド脇には、そう言ってこちらを見るスーツ姿の男がひとり。
その姿に、一瞬で目が覚めた。
だ、誰!?
「っ……キャー!!侵入者ー!!」
驚きから叫びながら、枕元のスマートフォンを投げつけると、大倉さんは動じることなくそれをキャッチしてみせる。
「誰が侵入者だ。きちんと合鍵で入ってきた」
「なんだ、ならよかった……ってよくない!なんで!?どうして鍵を!?」
「澤口さんから預かった、と以前も言ったはずだ」
あ!そういえば、以前そんな話をしていたっけ……。
あぁもう、あのバカ父!なにしてくれてるのよ!
今日も質の良さそうなスーツをばっちり着こなした大倉さんは、スマートフォンをベッドのサイドテーブルにそっと置く。
「でもいくら鍵があるからって使う!?」
「恋人の家だからな。合鍵で入るくらい当たり前だろ」
「はぁ!?はっ!」
一瞬なにを言っているのかと思って怪訝な顔をしてしまう。けれど、すぐに思い出した。
そうだ、私は先日この男と『恋人から』始めることにしたのだった。