クールな社長の溺甘プロポーズ
そんな会話をしながら少し車を走らせて、大倉さんは着いたパーキングに車を停める。
「ここは?」
「こっちだ」
いつものような、レストランへ向かうのとは少し違う。
連れられるがままに歩いていくと、目の前に広がるのは一面ピンク色の景色。
それは満開の桜の木々で、立派な池を囲むように桜が咲くそこは、花見の名所として都内でも有名な公園だった。
美しくライトアップされる中、平日の夜にも関わらずたくさんの花見客で賑わっていた。
「すごい、綺麗……」
「たまにはいいだろ?19時に近くのレストランを予約してあるから、それまで少しゆっくりしよう」
つまり、お花見デートということ。
大倉さんがそう言って向かう先にあるのは、大きな池の端にあるボート乗り場。
「ボート?」
「あぁ。ここの公園、ボートに乗って花見ができるんだ。疲れてるだろうから歩くよりこっちのほうがいいかと思ってな」
並んで待つ人々の列を通り過ぎ、大倉さんは係員へ声をかける。そしてなにやら話をすると、すぐボートへ通された。
「え?並ばなくて大丈夫なの?」
「事前に一台確保させておいてもらった」
「本当事前準備ばっちりなのね……」
こういうところでまで、抜かりないというか。
思えばいつも、どのお店でも予約を取って極力待たなくていいようにしてくれている。
しかも、疲れているだろうからボートに、なんて……私のために、いろんなことを考えてくれているんだ。
その心遣いが、すこし嬉しい。