クールな社長の溺甘プロポーズ
「ここだ」
不意に私の髪に触れたその手と、たまたまその近くを探っていた自分の手が、トンッと触れる。
少し冷たいその体温を感じたその瞬間、恥ずかしさからかあっと頬が熱くなるのを感じた。
って、なにこれくらいのことで照れてるんだか!
赤くなる顔を見られたくなくて顔を背ける。
「……星乃」
すると大倉さんは、突然私の手をそっと握った。
「い、いきなりなにするの……」
「照れる星乃がかわいいから、もっと触れたくなった」
「かっ!?」
かわいいから、なんてまたそうやってからかって!
意地悪く笑う顔を想像して大倉さんを見る。
ところが、こちらを見つめるその目は、優しく穏やかな笑顔だ。
からかいとかじゃなく、本当に思ってくれている?
なんて、錯覚してしまうほど。
「恋人なら、手を握るくらいいいだろ」
そう言って、絡められる長い指。
恋人繋ぎをするその大きな手に触れていると、この手が、頬が、全身が、熱くなってたまらない。
はずかしい、よ。
ライトに照らされた水面には、華やかな桜とふたりの影が映し出されていた。