クールな社長の溺甘プロポーズ
「コーヒー飲むか?淹れてやる」
「どうぞお構いなく……って、なんで!?どうして日曜の朝からうちでくつろいでるの!?買って以来しまいこんでたコーヒーメーカーまで引っ張り出して!」
「せっかく買ったなら使わなければもったいないだろ」
驚き詰め寄る私に、大倉さんは『どうどう』というかのようになだめる。
休日だからってすっかり油断していた。まさかこんな朝早くから現れるとは。
彼の突飛な行動にも少しは慣れてきた気がしていたけれど、まだまだだった。
「出かけようと誘いに来たが、すっかりよく寝ていたからな。もう少し寝かせておこうとそっとしておいた」
「お気遣いどうも。気遣うならいきなり来ずに電話の一本でも入れてくれませんかね」
「したぞ。出なかったけどな」
え?
言われてから、寝室に置きっぱなしのスマートフォンを見に行けば、画面には【着信3件】の文字。
それは全て大倉さんからのもので、気を遣って時間を空けつつ3回も電話をかけてくれている。
気遣ってくれていた彼と、その配慮に一切気づかず爆睡していた自分、という立場に一気に分が悪くなる。
「よほどぐっすり寝ていたみたいだな」
「うっ……」
確かに熟睡してましたとも。
言い返す言葉もなく、それ以上の反論を諦めると、私はため息交じりに寝癖のついたままの髪を手で整える。