クールな社長の溺甘プロポーズ
乗り込んだ彼の車は、真っ直ぐに横浜方面へと向かう。
よく晴れたいい天気の中レインボーブリッジを渡れば、東京湾の水面に太陽が反射しキラキラと綺麗だ。
「いい天気。ねぇ、窓開けてもいい?」
きっと断らないだろうとはわかっていても一応たずねる。
そして返ってきた大倉さんからの「あぁ」という返事に、私はそっと窓を開けた。
涼しい風がふわりと入り、私の髪を揺らす。
「わ、すごい風」
せっかく整えた前髪が乱れることも気に留めず、気分よく風にあたった。
「休日にこうして外に出るなんて、久しぶりかも」
「そうなのか?」
「えぇ。ひとりだと寝て終わっちゃうし、元彼と付き合い始めた頃は出かけたりもしたけど、別れる頃はすっかり……」
なにげなくその話題を出す私に、彼は前を向いたまま、「ほう」と相槌を打つ。
「仮にも恋人の前で元彼の話とは。ずいぶんな神経だな」
「え!?あっ!ごめんなさい……!」
はっ!しまった。
確かに普通の恋人同士ではないとはいえ、少し無神経だったかも。そうハッとして手で口を塞ぐ。
ところが、そんな私を横目で一瞬見て、大倉さんは吹き出すように笑った。
「……冗談だ」
「なっ!からかったのね!」
「どんな反応をするか見て見たくてな。けど、素直に謝るとは少し意外だったな」
意外ってどういうこと!