クールな社長の溺甘プロポーズ
半年前に別れた元彼の春樹とは、一年ほど付き合っていた。
彼は薬品会社の営業マンで、爽やかな見た目の明るい人だった。
一度、品川駅でぶつかって私が落としてしまったピアスを拾ってくれたことがあった。それが縁で話をして、食事に行き、自然な流れで付き合い始めたのだ。
それまでに数度、仕事とか恋愛の両立ができなくて恋をすることに臆病になってしまっていた私だけれど、そんな不安も春樹は受け入れてくれた。
『星乃は頑張り屋だね。そういうところ、好きだな』
『俺のことはいいから、仕事頑張って』
急な出張も、休日出勤も、そう笑って送り出してくれた。
今思えば、その優しさに甘えすぎていたと思う。
だけどその時は浮かれていて、なにも気づけなかったんだ。
いつしか結婚を意識するようになり、春樹のことを周りの友人にも紹介したりもした。
『星乃、素敵な彼氏じゃん。うらやましいな』
そう笑ってくれた友人のなかのひとりが、先ほど出くわした彼女、沙也加だった。
かわいらしい顔立ちの彼女は、学生の頃から異性関係に関してはあまりいい話を聞かなかった。
けれど、女同士つるむ中では特別嫌なことも感じなかったし、いい友達のひとりだと思っていた。
……ところが、ある日のこと。
休日出勤したはいいけれど予想以上に早くあがれた私は、せっかくだしとその足で春樹の家へと向かった。
驚くかな、なんて心を踊らせ彼のマンションをたずねれば、そこにあった光景はベッドの上でシーツにくるまる裸の春樹と沙也加の姿だった。