クールな社長の溺甘プロポーズ
「星乃。なにかあったか?」
「え?どうして?」
「なんとなく、いつもより元気がないように見える」
元気が、ない……。
この心の上がり下がりも一瞬で見抜かれてしまうから、彼にはまいる。
だけどそれを正直には話せず、笑ってみせた。
「そう、かな。なにもないけど」
我ながら、下手くそな作り笑いだと思う。
それは大倉さんから見ても明らかなのだろう。彼は少し考えてから、思いついたように口をひらく。
「星乃。今日なにか大事な会議や打ち合わせはあるか?」
「え?今日は確か、ないはずだけど」
「そうか」
そしてスーツの内ポケットからスマートフォンを取り出すと、どこかへ電話をかけた。
「すみません、澤口星乃の身内ですけれども。えぇ、実は星乃が熱が出ていて、本日をお休みをいただきたいのですが」
って、え!?
なんの話!?
私が内容を理解するより先に大倉さんは「失礼します」と電話を終えた。
「待って、今電話かけた先って……しかも、熱がとか休みをとか聞こえた気がするんだけど」
「あぁ。お前の会社に電話をして休みをもらった」
「やっぱり!!」
ていうか、私の職場の電話番号までしっかりおさえてるところが怖い。