私の彼氏は小さい先輩
その日の夜


「先輩の変態!なんなのほんとに!バカ!」

クッションをボスボス殴りながら香は孝之への文句を叫んでいた。


あの後、凛に壁ドンされました、なんて言えるはずもなく。

『部活への勧誘』とかなんとか誤魔化して切り抜けた。

しかし、香の耳から孝之の声が消えることはなかった。



『これくらいでときめいちゃってる感じ…?』


「最ッ悪…先輩なんか…!」




―――先輩なんか、嫌い


言おうとしていた言葉は喉元まできたもののそのまま飲み込んだ。


「いや、嫌いっていうか?なんていうか…?」
クッションを殴る手を止め、ベットにゆっくり横になる。


嫌いっていうか…



「もうヤダ…」
香はため息をつくと、部屋の電気を消した。
< 18 / 27 >

この作品をシェア

pagetop