永遠の愛を(番外編も完結)
その手を見て、彼を見上げると

「はい、つかまって」

と優しく言われて、しばらく迷ってるその間、先輩と見つめ合う。

「ほら、早く」

もう一度優しく言われて、先輩の手に自分の手を重ね合わせるとグイッと力強いその腕に引っ張り上げられた。

だけど足がもつれてそのまま前に倒れそうになった。

そんな私の体を先輩の力強い腕がしっかりと抱き止める。

先輩の触れた箇所が熱を持ち、心臓が忙しなく動き回っていた。

「きゃっ…す、すみません」

慌てて体を離しテンパる私とは違って、先輩はいたって冷静に見えた。

足元のおぼつかない私をすぐ側のソファに座らせると、スマホのライトで辺りを照らしながら私の代わりに私のスマホを探してくれた。

「ありがとうございました…」

部屋の前まで送ってくれた先輩にお礼を言ったその直後、また雷鳴が鳴り響き驚きで肩を大きく揺らした私を見て、先輩が言った。
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