永遠の愛を(番外編も完結)
「美麻」

久しぶりに聞いたその声に、初めは聞き間違いかと思った。

だからそのまま行こうと思った。

ここにいるはずないと思ったから。

私に会いに来る理由も………

だけどもう一度呼ばれた。確かにあの人の声で。

声のした方に視線を向けるとあの頃と変わらない目で彼が私を見ていた。

「…え…。なぜここに…社長が?」

「その呼ばれ方は好きじゃない。…って前にも言ったよな、確か。」

少しだけ寂しそうな感情をにじませた声でそう言った彼に

「すみません…。私…急いでますので失礼します。」

軽く頭を下げ、行き過ぎようとする私を彼はまだ逃してはくれない。
< 13 / 362 >

この作品をシェア

pagetop