永遠の愛を(番外編も完結)
いつもは閑散としてる駅前の商店街アーケードも、初詣に向かう人や駅に向かう人でいっぱいだった。

「やっぱり繋いでて正解だな。絶対はぐれてたよ。」

「…そう、だね」

確かに、後ろも前もいっぱいの人。私たちはすれ違う沢山の人の間を縫うように進んだ。

ここの人混みは苦手…昔から。

神社まで繋がるこの長いアーケード通りが人混みで賑わうのは、年明けと秋祭りの時くらい。

お祭りの時にはテキ屋がずらりと並び、神社の中までずっと続く。

もう顔もおぼろげにしか思い出せないけど…ここを母と手を繋いで二人で歩いた記憶が呼び起こされて行く。

『迷子になっちゃうから、ママの手を絶対に離しちゃダメよ』

小さかった私はそう何度も言い聞かされたのに、お祭りのお店に並ぶ色鮮やかな飴やおもちゃに魅せられてつい母の手を離してしまった。

『美麻!』

母は必死で私を呼んだらしいけど、私の耳には何も届かない。
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