永遠の愛を(番外編も完結)
キラキラした目で、その大小様々に並んだ飴を見ていた私にテキ屋のお兄ちゃんが言った。

『お嬢ちゃん、どれがいい? 』

『これ!!』

と私が選んだのは、一番小さなイチゴ飴だった。

『ママ~、これほしい~』

ママがいるものだと思って後ろを振り返ると、人混みの間からわずかに見えたママが泣きそうな顔をしてこっちを見たのがちょうど見えた。

『美麻!ママの手を離しちゃダメって言ったでしょ。』

そう言いながらぎゅっと力いっぱい抱きしめられた。

『はぁ…でも良かった』

震えながらそう言ったママの声に私も泣きそうになったのを思い出した。

だけど、そんな事があってから母がいなくなるまでの時間はそれほど長くはなかったと思う。

『ママの手を離しちゃダメ』と言った母が、今度は私の手を離して遠くへ行ってしまった。

私を見つけて抱きしめてくれる母の手はもう今はない…
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