永遠の愛を(番外編も完結)
「…だから、その呼ばれ方は好きじゃないって言ってるだろ。」

「あ…そうでした。すみません。」

彼の事は高校時代は先輩と呼んでいたけど、今の私たちの関係性の中では “ 社長 ” 以外の呼び名が見つからない、というのが正直な気持ち。

川並さん?慶斗さん?……どれもいまいち呼び慣れない。

かと言って昔みたいに先輩とも呼びにくい。

そんな事を頭の中だけで考えていたら、彼はいつの間に座ったのか

「いつまでも突っ立ってないで美麻も座りなよ。」

そう言われてハッとした。

空けられていたその席は、高校2年の冬にこの家でお世話になっていた時と同じ彼の隣だった。

私たちの前に座るヨシおばあちゃんは、とても満足そうに目を細め優しい笑顔で私たちを見つめる。

「こうしてると昔に戻ったみたいで懐かしいわね。」

あの頃のヨシおばあちゃんも今と同じように、いつも並んで座る私たちを見ていた事を思い出した。
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