永遠の愛を(番外編も完結)
明日もお休みである事を伝えると、目の前の彼女の表情が一段と明るくなった。

「だったら、そんなに急いで帰らなくても今日はゆっくり泊まっていったら？それで明日、慶斗と一緒に帰ったらいいじゃない。二人とも同じ東京に戻るんだし。ねぇ、慶斗」

「ああ、そうしたら？その方が、ばあちゃんも喜ぶし。」

そんな風に言ってもらえる事は本当に嬉しいし有難いとも思う。

それにヨシおばあちゃんが本当にそれを望んで言ってくれているのが表情で分かるから、「でも…」という断りの言葉は喉の奥に張り付いて出てこなかった。

結局、私は好意に甘えそのまま泊まることになった。

私がこの家でお世話になっていたあの頃は、キッチンに立ち夕食の準備をするのは私とヨシおばあちゃんの役割だったのに、今夜のシェフは社長らしい。

私たち女性二人は「ゆっくり寛いで待ってて」と言われたその言葉通りソファに座って寛ぎタイムだ。

さっきまでは急遽お泊まりになってしまったこの状況に多少なりとも戸惑っていたはずなのに、今はキッチンから漂う美味しそうな匂いに食欲がそそられている。

私ってこんなにも単純だったのだろうか、と自分でも驚いてしまうほど。
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