永遠の愛を(番外編も完結)
ゆっくりでいいと言った彼は、あのあと私に二つの事をお願いしてきた。
「これに関しては今から即実行で」と悪い笑みを付けて。
その二つは社長呼びと、堅苦しい喋り方。
結局、彼のことは慶斗さんと呼ぶ事に決まった。
本当は “さん”付けも嫌だと言われたけど、“ 慶斗 ” なんて…付き合ってもいないのに呼べないという私に最後は彼が渋々折れた。
「今日はこのくらいにしておくか。」
練習だと言って、何度か私に慶斗さん呼びを強要した彼は柔らかな笑みを浮かべてそう言った。
笑顔とは裏腹に、かなりの鬼コーチだった。
「疲れただろ。後はゆっくり寝てていいよ。」そう言われた言葉に、さすがに今は眠れないとさえ思ったのに。
気づいた時には、車はもう私のアパートの前だった。
案外、私って図太い神経の持ち主だったんだ、と自分の一面を改めて知った。