永遠の愛を(番外編も完結)
その後、慶斗さんが何かを言っていた気がするけど正直あまり覚えていない。

放心状態だった私をとりあえず車に乗せた慶斗さんがもう一度、母の元へと戻り、何かを話していたけれど内容までは聞こえなかった。

とにかく、あまりにも突然の出来事に頭と心がうまくバランスが取れていない状態だった私と母に代わり、慶斗さんが上手く対応してくれたのだと思う。

「大丈夫か?」

車に戻ってきた彼の目が、私の事をすごく心配してくれているのが伝わってくる。

「…あ、う…ん。ごめん…ね、心配かけちゃって。」

慶斗さんの大きな手が私の手をぎゅっと包み込んだ。

「謝らなくていいよ。とりあえず、お母さんの事は落ち着いたらまた話そう。」

それだけで不思議と、私の心は次第に落ち着きを取り戻していく。

頷いた私を見て、彼は少しだけ安心したように微笑みながら私の頭を優しく撫でた。
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