永遠の愛を(番外編も完結)
そして約束の日。

昨夜は緊張でなかなか寝付けなかったのに、不思議なことに来るところまで来てしまえば、自然と腹がすわっていた。

今日、ここから始まる。

私と母の新たな関係が。

少し早めに家を出たつもりだったけど、待ち合わせ場所に先に着いていたのは母の方だった。

店内の奥、入り口の方を向き座っていた母の姿はすぐに見えた。

慣れない場所で迷わずに来れただろうか?

と、少し心配になった。

綺麗な姿勢で座っていた母の表情は緊張しているように見えたけど、店内に入ってきた私に気づくと弾かれるようにその場に立ち上がり頭を下げた。

「お母さん、顔を上げて…」

目の前まで来てそう言うと、ゆっくりと顔を上げた母の瞳には涙が浮かび一雫がその頬に流れ落ちた。
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