永遠の愛を(番外編も完結)
泣かずに話すつもりだったのに、気付くと二人して大粒の涙を流していた。

テーブルの上に置いていた私の手も、いつの間にか母の温もりの中にあった。

ごめんね、ごめんねと涙声で何度も謝罪の言葉を口にする母の手は、とても小さく、そして温かかった。

色々言いたい事はあったはずだった。

だけどーー

大切な家族を置いて家を出た事を後悔はしても、私を産んだ事を後悔した事は一度もない、と。

母は私の目を真っ直ぐに見つめてそう言ってくれたから。

「もう…謝らなくていいから。

それよりお母さんが生きていてくれたことが、本当に嬉しいし…良かった。そして、私を産んでくれて…本当に…本当にありがとう。」

私も今日一番伝えたかったその言葉を伝える。

すると、母は堪え切れなくなった嗚咽を漏らし、小さくか細い肩を震わせた。

震える母の手を、今度は私の手でしっかりと包み込んだ。
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