永遠の愛を(番外編も完結)
それから歩き始めた母の小さくなる背中を見ていたら、堪らない気持ちになった。
この街はどこもかしこも人で溢れてて、まるで巨大な迷路のようだから。
慣れない母にとって、1人でここまで来るのはきっと不安で、物凄く大変だったはず。
約束の時間に遅れないように、と今日は朝早く家を出てきたのかもしれない。
気づくと一旦はポケットにしまったはずの入場券を手に改札を抜けていた。
「お母さん」と思わず声をかけ、追いかけてきた私を見て初めは驚いていた母も、最後は「ありがとう」と笑顔を見せてくれた。
失った時間を取り戻す事は出来ないけれど、これから残りの人生をかけて、私たちなりの親子の関係を築いていきたい、そう強く思った。