永遠の愛を(番外編も完結)

「私のことより、美麻は?」

「…え?」

何も言えなかった昔と違って、今日はちゃんと話すつもりで来たけれど。

突然、話が自分に向けられ一瞬慌てた。

「ほら、美江《よしえ》さんのお孫さんなんでしょ。先輩。」

「…え。あ、うん。唯ちゃん…は、気づいてたの?」

「うん。まぁ、何回かは遠目に見かけたよ。高校の時より益々いい男になってたから流石に声はかけられなかったけどね。」

と笑う唯ちゃんを見て、今一度勇気を振り絞る。

「あ、…あのね唯ちゃん!私、いま彼と…」

「うん、付き合ってるんでしょ。」

え?と驚く私に、唯ちゃんはふふと微笑んだ。

「美江さんがね。ある時、顔色もめちゃめちゃ良くてすっごく嬉しそうにしているもんだから、何かいい事でもあったんですか?って聞いたの。そしたらうちの孫がやっと好きな人と幸せになれるんだって教えてくれて。しかも、その孫って先輩のことかと思ったら、違ったのよ。」

「え?」

「いや、違わないんだけど先輩だけじゃなくて、美麻の事も自分の孫だって言ったの。その子は亡くなった親友の孫だけど、私にとっては自分の孫以上に可愛い存在なんだってそう言って涙ぐんでた。その時は相手が誰かまでは分からなかったけど、今日その相手が美麻だって分かって私、本当に嬉しかった。美麻…が、いま幸せで本当に…本当に良かった…」

最後の方、涙声になった唯ちゃんの声が凄く優しく心に響いて、熱くなった喉の奥がきゅっと締め付けられた。
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