【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
1章 偽りの婚約
大学を卒業し、誰もが知っているであろう大手企業へ入社して半年。
決して順調とは言えないけれど、自分なりにスキルアップして今の部署での仕事ぶりも評価され始めた頃ーーーー
「え?秘書室……、ですか……?」
「ああ。室長から直々にオファーがあってね。うちとしても君の能力の高さは認めるところだし、これから任せたい仕事もあったんだが……」
そう言って本当に残念そうな表情を浮かべた課長は、1枚の紙切れを私に手渡す。
辞令、と書かれたその紙には『本日付で秘書室勤務を命ずる』とあり、課長のいつもの笑えない冗談ではないことがわかった。
「あの、でも私、秘書なんてどう考えても務められそうになくて……」
「まあそう思うのも仕方ないが、ここにいるみんなも同じ考えだと思うぞ」
「そ、そうですよね……」
総務部企画アシスタントグループという女子ばかりの裏方専門のような部署から、秘書室への転身。
突然の異動話に周りにいた同僚からはどよめきのような声が上がり、皆信じられないとでも言いたげに課長の手にある辞令を隅々まで眺めている。
決して順調とは言えないけれど、自分なりにスキルアップして今の部署での仕事ぶりも評価され始めた頃ーーーー
「え?秘書室……、ですか……?」
「ああ。室長から直々にオファーがあってね。うちとしても君の能力の高さは認めるところだし、これから任せたい仕事もあったんだが……」
そう言って本当に残念そうな表情を浮かべた課長は、1枚の紙切れを私に手渡す。
辞令、と書かれたその紙には『本日付で秘書室勤務を命ずる』とあり、課長のいつもの笑えない冗談ではないことがわかった。
「あの、でも私、秘書なんてどう考えても務められそうになくて……」
「まあそう思うのも仕方ないが、ここにいるみんなも同じ考えだと思うぞ」
「そ、そうですよね……」
総務部企画アシスタントグループという女子ばかりの裏方専門のような部署から、秘書室への転身。
突然の異動話に周りにいた同僚からはどよめきのような声が上がり、皆信じられないとでも言いたげに課長の手にある辞令を隅々まで眺めている。
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