【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
7章 ここから始めよう
パーティ会場からマンションへの車中、私も暁斗さんも何も話さなかった。
というより、私は何度もキスを交わした後からずっと、何も話していないどころか、顔も見ることができずにいた。
一口飲んだアルコールが効いているのかわからないけど、とにかく顔が熱い。
唇は未だにあの柔らかな感触の余韻に浸っているようで、思い出しただけで心臓が爆発しそうなほどドキドキしてくる。
「美緒はバスルーム使いなよ。俺はシャワーでいいからさ」
「あ……、はい……」
帰ってきてすぐ、暁斗さんがそう言った。
これが、キスしてから初めての会話かもしれない。
というか頭の中ではずっと、暁斗さんとキスしながら見えていた視界の端の景色が繰り返し流れている。
ドキドキしっぱなしで、いい加減心臓への負担が気になってくる。
暁斗さんが譲ってくれたので、バスルームを使わせてもらった。
最近は暁斗さんはリビングにいることが多いけど、今日は少し時間が遅い。
明日は土曜で私はお休みだけど、暁斗さんはまた接待なんかの予定があるのかもしれない。
会社がお休みの時の暁斗さんのスケジュールは藤堂さんが管理しているので私は知る由がない。
この辺りは、私に気を遣ってくれているのだと思っているけど、少し寂しい。私も一応秘書として付いているのに、と。