【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
2章 戸惑いの秘書と華麗な婚約者
疑いが晴れるまで秘書としてそばにいてもらう、というのはわかる。監視対象が近くにいれば何か起きたときに迅速に対処しやすいし。

だけど『婚約者』は?
なぜ?何で私が?理由は何?

社長と藤堂さんの説明としては、私が佐伯の人間だと公表するつもりはないけれど、万が一情報が漏れた時、その方が都合がいいのだという。
都合がいい理由も結局よくわからないけど、疑いが晴れたら私の希望する部署へ戻してあげる、と言われては拒否するのは得策ではないと思い、その条件を飲んでしまった。

「彼女が本日より秘書室勤務となった佐伯美緒さん。彼女は秘書業務につくのは初めてで、加えてまだ入社して半年の新人のため、何かと分からないことも多いと思うが皆でフォローしていこうと思う。それからーーーー」

突然婚約者に任命された衝撃も冷めやらぬうちに、秘書室の皆様との顔合わせの時間がやって来た。
立っているだけで品よく美しく見える秘書の方々を前にして、いよいよ私の緊張がピークに達する。

本当なら社長と対面した時が一番緊張するものなんだろうけれど、社長は想像以上にフレンドリーだったので緊張は長く続かなかったし。
でも今は、秘書の方々が同じ女性ということもあり、表情からは読み取れないけれど、私に向けられている視線が上から下まで、まるで値踏みするかのように刺さっている。
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