【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
ただカッコいいとかスタイルがいいとか、それだけならここまでドキドキしないけど、その優しさが自分に向けられていると気付くと意識せずにはいられない。
「しゃ、社長は私なんかと婚約しても大丈夫なんですか?と言っても期間限定なんですけど……」
「ふふ、それってどういう意味なのかなあ。俺のこと意識してくれてるって思っていいのかな」
「い、意識はします……。私、大学までずっと周りは女子ばかりで共学でもなかったし、名前を呼び捨てにされたことも、こ、こんな風に手を触られたこともないし……」
「そうなんだ。こうやって手を繋いだこともないの?」
「……!」
重ねていた手を翻し、指を絡めて繋ぎ直される。
長い指が私の指を挟み、親指で撫でるようにゆっくり動かされるとドキドキは頂点に達し、とうとう声も出せなくなってしまった。
「し、しゃちょうは……」
「暁斗」
「え?」
「今は業務時間外だから。社長じゃなくて暁斗って呼んで。俺達は婚約中なんだし、外では名前で呼ぼうよ」
「えっ、でも私……」
「ほら練習練習。あ、き、と。はい、言ってみて?」
「あ、あ、きっ、き、と、と……」
「っ!」
私がたどたどしく社長の名前を呼ぶと、ツボにはまったのか社長は口元に手を当て肩を揺らして笑いたいのををこらえているようだ。