【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
***

「さ、着いたよ」

「え……、ここって……」


一緒に帰ろうと言われて車に乗ったはいいけれど、どこまで連れていかれるのか内心不安に思っていたのに。


「ここ、私の家ですよね?」

「うん。帰るって言ったじゃない」

「でもまさか私の家をご存知とは思ってなくて」

「はは、知ってるに決まってるよ。君のことは調査済みだもん」

「そ、そういえばそうでしたね……」

「さあ、細かいことは気にしないで。中に入ろう?」

「あ、はい……、って社長も入るつもりですか?」

「うん。ダメ?」

「いえ、ダメって訳じゃ……」

「ついでにこいつも入るよ」


そう言って社長が後ろに控える藤堂さんへ目を向けると、藤堂さんは軽く会釈をした。
つまりは私の家にお二人が入るというわけで。
それほど散らかってなかったはずだし大丈夫だよね、と頭の中に家の間取りを浮かべて確認する。


「……いい家だね。ちらっとしか見えないけど、日本家屋だよね?」

「はい。敷地は広いんですけど、中は平屋でそれほど広くないんですよ」


門を開き、玄関までの石畳のアプローチを歩いている間、社長は興味があるのか左右に並んだ植え込みの奥に控える庭をのぞいたりしていた。
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