【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う

「ごめんね、意地悪な言い方して。でもね、君には俺のところに来てもらう以外ないんだ。危険な目には絶対に合わせたくない。だから無理を承知で言ってる」

「でも私、男の人と一緒に住むなんて……」

「大丈夫、俺は嫌がってる子に無理矢理迫ったりしないから」


そう言って社長は満面の笑みを浮かべて一人で納得したように、うんうんと頷いている。


「あ、もちろん合意があれば喜んで……」

「なっ、ないです!」

「ははっ、残念。でもまあそういうことだから。身の回りの物だけ用意してもらえればいいよ。着替えとか、必要かなって思うものは向こうに揃えてあるから」

「揃えてあるって、このお話って今日決まったばかりなのに準備よすぎじゃないですか……?」


社長の秘書になって婚約者になるとか、さらには社長と一緒に住むとか。
全てが今日決まったことなのに、否応なく社長の思惑通りに計画が進んでいる気がして。


「そりゃあもちろん今日だけの話じゃないよ。少し前から考えていたことだけどね」

「だったら私が拒否して会社やめますって言ったかもしれないし、実家に帰るって言ったら用意してたものとか計画とか全部台無しでしたよね」

「うーん……、まあそうだね。でも、申し訳ないけど俺の計画通りに進まないことってないんだ。それに金を積んだとか無理強いしてる訳でもないでしょ?君の希望を叶える代わりにこちらの要望も聞いてもらう。いわば取引だよね」


そう言って社長は私に視線を移し、同意を求めるかのような、いや、私にそうだと認めさせるような威圧感を放ってくる。
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