【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
3章 波乱の同居生活
いつも見上げてばかりだった、テレビでよく紹介されているタワーマンションが社長の自宅。
セキュリティ万全、コンシェルジュは執事さんのように品がよく、まるで一流ホテルにでも来たような気分になった。


「なんか……想像を絶するって、まさにこの事……みたいな」


タワーマンションの上層階。社長いわく、最上階でもよかったけど、エレベーターに長く乗るのが嫌、とかいう理由で最上階ではないらしい。

薄々気付いていたけど、突然一流企業のトップの顔をしたかと思えば、藤堂さんに軽くあしらわれてみたり、子供っぽい理由で好き嫌いを語ったり。
社長はその本性がよくわからない、いわゆる”掴めない人”だ。


「部屋の中からこれだけ夜景が見えるなんてすごいですね……」

「うーん、俺も最初はいいなあと思ったんだけど、結構すぐ飽きたかも。だってさ、毎日何も変わらないんだ。ずっと同じ景色でさ」

「えっと、毎日景色が変わる方がおかしいような気もしますけど……。でも社長の言うことも少しわかる気がします」

「えっ、わかる?いいねえ、この件でわかるって言われたことないんだよね。みんな夜景が綺麗とか、ロマンチック、世界が違って見える、とかさ」

「……みんなって、たぶん全員女の人ですよね」

「あ」

「そんな『あっバレた』みたいな顔しなくても大丈夫ですよ」

「いや、だって俺のこと女遊び激しい軽薄社長って思ってるよね」

「いえ、そこまで思ってませんけど。少し軽いのかなって思うぐらいで。でもそれも違うのかも」


ただの軽くてチャラついてるような人は、誰かを従わせるほどの威圧感は出せないと思うし、藤堂さんみたいな優秀な人がここまで従うこともないような。

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