【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
「ふーん、違うかもって思ってくれるんだ。君のはお世辞じゃないと思うから嬉しいよ」
「きっとそう見えるようにわざと振る舞って……、痛っ……」
「美緒?どうかした?」
「いえ……、何か踏んでしまって……何だろこれ……」
足の裏に感じた違和感。何か踏んだと思い確認すると、そこにあったのはキラッと光る小さなピアスで。
「……ピアス……」
「あ、それ俺のだ」
「え?」
可愛らしい石がついた明らかに女性向けのピアスを自分のものだと言う社長の台詞に耳を疑い、藤堂さんと顔を見合わせた。
「あの、嘘……ですよね?」
「いやホントなんだって、これ……」
「私はこれまで社長のたくさんの嘘を聞いてきましたが、ここまでひどいものは初めてです」
苦渋の表情でそう話す藤堂さんの『たくさんの嘘を聞いてきた』というのが俄然気になってくる。掴めないと思っていたけどやっぱりただの軽薄社長なんだろうか。
「え、ええ?いや、ホントに俺のなんだって!美緒がここに来るってことになったから捨てようと思ってカウンターのところに置いてたんだ。誰の忘れ物かわかんないし、俺の家にあるんだから俺のでしょ?」
なんて屁理屈を自信満々で言う社長がなんだか可愛くてものすごく笑いたくなった。
でも誰の忘れ物かわかんないってことは、それぐらいたくさんの女の人と付き合ってたってことで。
地位も名誉も、その上美形とか、はっきり言って神様はこの人に二物も三物も与えすぎだと思う。