【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
「本物にですか……。それはそれで大変そうな気がします。社長、すごくモテると思うので」

「はは、そんなにモテないよ。みんな俺の地位と金が好きなだけなんだ。俺自身に興味がある訳じゃない」

「……そんなことはないと思いますけど……」

「ーーーー佐伯さん、私からも説明させていただきます。社長は女性の扱いはお上手ですし、アプローチを受けることも多々あります。ですが、どなたにも同じ接し方です。特別な方はいませんのでご安心ください」


……と、藤堂さんは真顔でそう説明するけれど、全然フォローになってないような。むしろたくさん遊んでるという説明をされた気しかしない。


「藤堂、お前俺のこと貶めようとしてる?」

「いえ、そんなつもりではありません。ですが事実をご説明した方がよろしいのかと思いましたので」

「事実ってさ……。まあ、さっきも言ったけど、みんな俺のこと本気で好きとかじゃないんだ。俺も女の子は好きだけど、性格とか中身に興味ないし」


なんてさらっと社長は言うけれど、否定のつもりが肯定になってる気がする。


「あれ、俺もしかしてわりとサイテーなこと言った?」

「あー、まあ、わりとサイテーかも……」


中身に興味ないというのは顔さえよければどうでもいい、長い付き合いでもないから、ということだろうし。
ただ、こういう地位にある人って、ある意味女性不信になったりするものかもしれないけど。


「まあ、そう思われても仕方ないんだけどさ。ただ君と婚約してる間はもちろん君だけだから安心して」

「……わかりました」


安心するもなにも期間限定、仮の婚約者ですし、とは言わなかった。社長が気を使って私だけ、と言ってくれたのは私が佐伯の人間だから。
社長はきっと私の中身にも興味はないんだと思うから。

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