【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
4章 知りたいけど知りたくない

さらり、と僅かに髪がすかれた気がする。
瞼は重く、まだ目を開けたくはない。

だって温かいし、なんだろう……いい香りがする。
でもきっと、目を覚ますと消えてしまう夢なんでしょ?

だったらまだ起きない。
昨日は金曜だったから今日はお休み。

そういえば社長は今日もお仕事なのかな。
私に気を遣わないでって言いたいのに。
一緒に住んでるのに家ではほとんど話せない。
あんまり話したくないみたいだから。
やっぱり、私のこと仕方なく置いてるんだろうな……。

あ、まただ。
髪がすかれる感覚。

気持ちいい。
私、こうされるの好きなのかもしれないな……。

…………でも、誰?
そういえば枕もいつもと感触が違うような。


「…………ん……?」


閉じていたくて仕方ない瞼を無理やりこじ開けると、目の前には白っぽい……薄い縦縞が入ってる……壁?
だけどこの壁、どこかで見たような気がする。

どこだっけ。
ああ、そうだ、社長のシャツ……?
それに、肌が見えるような……?……誰か……隣に……いる……?

え、嘘。


「……っ!」

「……あ、起きた?」


またも低音の艶やかボイスが聞こえ、疑惑が確信に変わってどくんと心臓が嫌な跳ね方をする。


「な、な、なんで……、しゃ、社長が……」


重石がとれたみたいに急激に目が覚め、目の前に広がる光景に息を呑む。
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