【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
「ねえ、昨日のこと、全然覚えてないの?」
社長にそう訊かれて考え込むけど、やっぱり社長が登場してからのことは思い出せない。
「全然というか……。社長が来てくれたのは覚えてますけど……」
「じゃあ剣崎に迫られてたのは?覚えてない?」
「え……、社長は剣崎さんのこと知ってらっしゃるんですか?」
「知ってるも何も……腐れ縁ってやつ?あいつ俺が行く先々に絶対いるんだよね」
「お友達……」
「友達じゃないよ、あんな軽いチャラチャラした奴」
社長は嫌悪感丸出しでそう言ったけど、いやいやあなたがそれ言いますか、と口に出してしまいそうだった。
「美緒はさ、歓迎会だって思って行ったんでしょ?」
「はい。でもただの歓迎会ではなかったと……」
「そこね。まあ阿川サンは君を騙そうとしてた訳じゃないと思うんだ。ただ秘書室の子達は週末は合コン、っていうパターンが多いからもしかして、って思って」
「あ……、だから私が歓迎会に行きたいって言った時、藤堂さんが驚いたような顔をされてたんですね」
「はは、そうだね。君は合コンに行きたいです、って婚約者の秘書に確認しに行ったようなものだからね」
ベッドに横たわったままそう話す社長は、シャツははだけている状態で、髪も無造作に乱れているのにやっぱりとても魅力的で、こんな状況なのに見とれてしまいそうだ。