【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
「私、社長に大変なご迷惑をお掛けして……。本当にごめんなさい……」
「え?いや、迷惑なんて思ってないよ?むしろ俺は美緒を一晩中抱いて眠れたから満足してるよ」
そう言って私の頭をぽんぽん、と撫でてくれる優しさが今は苦しい。
「あの……私に気を遣わないでください……。私に気を遣わせないように、家ではなるべく会わないようにしてくださってますよね?」
「えー、そんなことないよ」
「だって一緒に住んでるのにこんなにすれ違うなんておかしいですよね」
「そうかな。こんなもんじゃないの?」
「でも、社長は帰ったらすぐご自分のお部屋に籠ってしまうし、シャワーだって私が寝た後に済ませてますよね?」
「それは偶然だと……」
「私、社長に気を遣われる方が嫌です。同居することを受け入れたのは私です。婚約は取引だっておっしゃったんですから、私だけが気を遣われるのは変です」
ずっと訴えたかったことをやっと言えた。
シチュエーションは最悪だけど、自分の思いは伝えることができたと思う。
あとは、社長の返事を待つだけなのだけれど。
私の訴えを聞いた社長は笑ってすぐに何かを答えようとしたけれど、何か考えるところがあったのか急に真面目な表情に変わり黙ってしまった。
社長はどう受け止めてくれるのか。
それが気になり社長の返事をじっと待っていると。