【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う

「……そうだね、君のことを避けてたのは、君を知りたくなかったから、だよ」


私の疑いが晴れるまで近くにいた方がいいから、という理由でそばに置くことを決めたのは社長なのに。
知りたくないというのもおかしな話だ。


「わかってるよ。だったら一緒に住むなんて言うなよ、って言いたいんでしょ」

「まあ……そうですね……。どうして?って思います」

「近くにいなくちゃ君が何か企んでるのか監視できない。だけど危ない目にも合わせられないから離せない。俺だってさ、これでも色々悩んだんだよ」

「あの、素朴な疑問なんですけど、社長が私のことを知ったら何か不都合なことがあるんですか?」

「あるよ。めちゃくちゃ不都合」


そう言って社長は、はあ、と大きなため息をつくと自嘲気味に笑った。


「中身を知るとさ、いろんな感情が芽生える訳じゃない?好意や嫌悪、同情とか……いろんな感情を抱くようになる。でもそれって正確な判断を下す時には邪魔なモノなんだよ」

「……冷静に、判断できなくなるってことですか……?」

「そう。だから俺は誰かと深く関わりたくない。取引相手は特にね」

「私は取引相手になるんですか?」

「まあ、一応そうかな。君には疑いが晴れたら好きな部署に行ってもいいっていう条件を出してるし」


社長の言うことは分からなくもないけど。
それって少し寂しいな、なんて社長の立場にない私はそんな風に思ってしまう。

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