【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
「でも、無理だった。キッチンなんてピカピカに磨いて眺めるものだと思ってたのに、君が来てからいい匂いがするようになって。だけど一人で食べてるんだなって思ったら寂しくないかなとか、考えたりさ。やっぱり近くにいると無視できなくて色々考えるよね。そこにきて昨日の合コンでしょ」
「……そういえば社長が来てくれたのは偶然ですか?」
「え?」
接待だと言っていたからあそこに現れたのは偶然だったのかと思い聞いてみたけど。
社長は信じられないものを見るような目で私を見ている。
「待って、それ本気で言ってる?」
「え、は、はい……」
「嘘だよね……君って天然なの……?」
さっきも大きなため息を聞いたけど、今度はそれを上回るほどのため息をつく社長。
私としては、そんなにあきれられるようなことを言ったとは思ってないんだけどな。
「……剣崎が、あいつが来るって知ってたら行かせなかった。知ったのは接待が始まってからだったからね。あいつなら俺の秘書になった子に興味を持つのはわかってたから、何かされるんじゃないかと気になって接待どころじゃなかったよ」
「剣崎さん、普通に優しかったと思うんですけど……」
「あいつの優しさは下心があるから。それに俺が行った時、君はあいつと抱き合ってたよね」
「え?抱き合ってた……、というか転びそうになったので助けてもらって……、でも危ないと思われたのか離してもらえなくて……」
「いや、だからそれが下心でしょ」
「あ、ああ、そうか、あれが何かされてたことになるんですね……」
おぼろげな記憶の中、剣崎さんは中々私を解放してくれなくて。足元がふらつく私を支えようとしてくれてたのかなと思ってたけど。
社長はそれこそが剣崎さんの下心だと思っているらしい。