【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
「まあ、そういうことだよ。俺のそばにいるせいで、君には色んな災難が降りかかるかもしれない。でも離れることもできない」
私を婚約者にしたと一部の重役には既に伝えたと言っていた。今さらそれを覆すことは難しいということなんだろうか。
「で、君を知りたくないから避けても結局は気になってしまう。君も俺に気遣われるのは嫌みたいだからそこはもう諦める。これからは避けたりしないよ。だから君も俺に気を遣わず自由にしてほしい」
「はい、わかりました。……ありがとうございます」
「ふふ、別にお礼を言われるほどのことではないよ。あ、それとこれからはちゃんと俺のこと名前で呼んで。じゃなきゃ返事しないからね」
「え……」
「家に帰ってからも社長とか勘弁してよ。今まではまあいいかと思ってたけど、これからはダメ」
「な、名前って名字ではなく……」
美緒、と呼ばれることにもまだ慣れてなくて、呼ばれる度に僅かにドキッと反応してたけど。
暁斗さん、なんて呼べるんだろうか。毎回言えずにモタモタしてしまうような気もしないでもない。
「じゃあ改めてよろしく、美緒」
「よ、よろしくお願いします……暁斗……さん」
そう言って差し出されていた手を取り固い握手を交わす。
そして手を離そうとしたんだけど、ぎゅうっと握られていて離せない。