【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
以前ちらりと聞いた話だと上層階には社長室の他、重役の方々のオフィスがあるはずだけど、この階には広すぎる受付と待ち合いスペース、そして秘書室しか見当たらない。秘書室の扉は閉まっていて中は見えないけれど、恐らく広くゆったりした造りになっているに違いない。
「ーーーー藤堂です。佐伯様をお連れしました」
藤堂さんが控えめな音でノックした際に発した台詞に耳を疑う。一社員である私を『佐伯様』と呼ぶのは明らかに違和感がある。
ただ、こうして『様』を付けて呼ばれることに抵抗はないのだけれど。
「ーーああ、入れ」
短い返事なのに、低く艶のある声に一瞬ドキッと胸が騒いだ。
許可を得て、藤堂さんが私を見て優しく微笑み、社長室のドアをゆっくりと開く。
開かれた扉の向こうには広々とした空間が広がり、大きなガラス張りの窓から射し込む陽光に照らされた人物が立っていた。
室内にある調度品や芳しく生けられた花々が、彼の威厳を強調する役目を果たしているようだ。
「失礼いたします。社長、こちらが佐伯美緒様です」
「あ、あの……佐伯……美緒です」
「ーーーー藤堂です。佐伯様をお連れしました」
藤堂さんが控えめな音でノックした際に発した台詞に耳を疑う。一社員である私を『佐伯様』と呼ぶのは明らかに違和感がある。
ただ、こうして『様』を付けて呼ばれることに抵抗はないのだけれど。
「ーーああ、入れ」
短い返事なのに、低く艶のある声に一瞬ドキッと胸が騒いだ。
許可を得て、藤堂さんが私を見て優しく微笑み、社長室のドアをゆっくりと開く。
開かれた扉の向こうには広々とした空間が広がり、大きなガラス張りの窓から射し込む陽光に照らされた人物が立っていた。
室内にある調度品や芳しく生けられた花々が、彼の威厳を強調する役目を果たしているようだ。
「失礼いたします。社長、こちらが佐伯美緒様です」
「あ、あの……佐伯……美緒です」