【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
ガタン、とひときわ大きな音がなった瞬間、ドアが開いたのか乾いた空気が流れ込んでくるのを感じた。
「美緒?どうした、何があった?」
「あ……暁斗さん……」
暁斗さんが手にしているスマホの明かりで、辺りがぼんやりと見えるようになった。
表情は見えないけれど、少し息が上がっているような暁斗さんの声からは、私の様子を心配してくれているのが伝わってくる。
「どうしたの、泣いてる?」
「わ、わた……し、暗い……ところは……っ……」
息が苦しい。
もう大丈夫、出られた、そう思うのに一度ぶり返した恐怖心は収まらず、呼吸が乱れて上手く話せない。
「く、くらい……の……、あ……」
震えていた体が、そっと温かいものに包み込まれる。
背中に回された手は私を落ち着かせようと優しく撫で擦ってくれている。
「落ち着くまで、少しこうしててもいい?」
「は、は……い……」
「……いいよ、何も喋らなくても大丈夫。もう、大丈夫だよ……」
私は今、暁斗さんの腕の中にいる。
背中を擦る手からは温かいぬくもりが伝わり、子供をあやすように頭を撫でられるとひどく安心して、涙は止まりそうもないほど流れ落ちていった。